【エンパワ日記】子どもは村中みんなで育てるもの – It takes a village to raise a child.

“It Takes a Village(邦題:村中みんなで)”というヒラリー・クリントンの著作を読まれたことはありますか? 初版は1996年、タイトルは、アフリカの諺「子どもは村中みんなで育てるもの(It takes a village to raise a child.)」が由来だそうです。
この本の最後から2番目の章、”The Best Tool You Can Give a Child Is a Shovel(子どもにはシャベルが必要)”の最後にこういうくだりがあります。意訳かつ少し長文の抜粋になりますが、お許しください。
私たちのほとんどは、ネルソン・マンデラが経験したほどの厳しい試練に直面することはないでしょう。しかし、誰にも困難や危機、失敗や絶望は必ずやってきます。どんな状況下でも、自分の道を切り開いていくための「鉄の意思と必要なスキル」を磨き身につけることは、私たちすべての人間にとって生涯通じての課題です。そして、子ども達が同じようにそれを身につけられるように、私たち大人ができるだけのことをするということは、子どもたちと「村」に対する生涯における責任です。
(Hillary Rodham Clinton, It Takes a Village, Simon & Schuster, 1996.)
世の中の重要な課題は、簡単な答えは用意されていないのが常です。だからこそ、普段は私たちにとって本当に重要な課題を見て見ぬふりをしたり、直視できないのかもしれません。でも、だからこそ、「村中」のみんなで知恵を寄せ集めて考えたり、理屈抜きで一緒に行動に移してみたり、一人ひとりがそれぞれの役割において情熱や才能、野心を傾けることで、想像すらしていなかったことができたり、困難な課題が解決できたりするのもまた事実です。
地域社会、職場、国、世界、いろんな形や大きさの「村」があってしかるべきですが、今年のカナエールという「村」は、17人のカナエルンジャー、51人の社会人エンパワ、実行委員、事務局やトレーニングチームを含むエンパワのアドバイザー、講師としてワークショップ等様々な形でご支援をしてくださっている方々やその他多くのサポーターの方々で構成されています。
   
2月25日のオリエンテーションでの初顔合わせ以来、17人のカナエルンジャーは、「大人たちの責任」について改めて気づかせてくれています。3月の合宿、表現ワークショップや事前発表会でのカナエルンジャーのスピーチの練習。一言一言が胸に響き、何度も目頭が熱くなりました。それは、社会の、そして自分も含めた大人の不甲斐なさに悔しさを感じての涙でもありました。
子どもたちは、無償の愛を受ける権利があります。そして私たち大人は、助けを必要としている子どもに、それぞれの立場でそれぞれができる範囲で、手を差し伸べる責任があります。
人生において、息を飲むような景色や胸を打たれるほどの美しい花との出逢いは、往々にして大きな困難や、時には失敗や絶望を乗り越えた先にありますが、夢を抱く素晴らしさを再認識し、その夢や目標に向かいチームとして、カナエールの「村中みんなで」無償の愛で手を取り合って協働している約120日間は、私の人生の中でもかけがえのない時間になっています。カナエールの創設と運営に関わっていらっしゃった関係者の方々、様々な形でアドバイスをくださっている講師の方々、そして、夢に向かって生きる美しさを改めて気づかせてくれているカナエルンジャーに心から感謝をしています。
今年が最後のカナエール・スピーチコンテスト。ぜひ会場で、少しでも多くのみなさんとお目にかかれることを楽しみにしています。
子どもは村中みんなで育てるもの。It takes a village to raise a child.
(横浜ブルー:まーつぁん)