希望格差のない社会へ~ カナエール2016夢スピーチコンテスト

本日、四谷区民ホールでカナエール2016東京を開催しました。ご来場いただいたみなさま、誠にありがとうございました。
先週の横浜会場、そして今日の東京会場で合わせて18名の若者が夢をスピーチしました。
「進学することを簡単に選べなかった私だからこそできることがある。学びたいけれど学べない人たち、学ぶことの楽しささえ知らない人たち、そんな人たちを減らすために力を尽くしたい。」
「施設の子どもが夢を持つことはたくさんの壁があると思います。だけどあきらめず前へ歩めば夢は叶うことを証明してみせます。」
「この夢は私一人の夢ではないから。いままで支えてくれたすべての人への感謝を忘れず、夢への道を一歩ずつ歩んでいきたい。」
困難な環境に置かれても、夢を持つことはできる。カナエルンジャーたちは力強く宣言しました。彼らの姿は同じように進学を希望する施設の後輩たちを励まし、背中を押すものになるでしょう。彼らが全身全霊で伝えたことをしっかりと受け止めて、カナエールはこれからも前進してまいります。希望の連鎖を繋げ、そして施設の子どもたちが抱える希望格差の解消に向けて取り組んでまいります。今後とも、ご理解・ご支援を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
カナエールはスピーチコンテストで終わりではありません! カナエルンジャーを卒業まで資金(月々3万円の奨学金)と意欲(社会人ボランティアによる継続的な見守り)によってサポートしていきます。
【奨学金で応援】
出場者に一時金30万円と卒業まで月々3万円の奨学金を支給しています。(返済不要の給付型奨学金) 奨学金は支援者からの一口2,000円の継続寄付で支えられています。 これからも、より多くの若者に進学の機会を提供するために、支援の輪を広げていきたいと考えています。ぜひ継続サポートへのご協力をお願いいたします。 お申し込み方法はこちらをご覧ください。 (スマートフォンからもお手続きいただけます。)
http://www.canayell.jp/support/donate/
【福岡で応援】
来週末は福岡でスピーチコンテストが開催されます。6人のカナエルンジャーをぜひ会場で応援してください。
カナエール福岡
◆日時:2016年7月3日(日) 13:00 開演 ~ 17:00 終了
◆会場:北九州 黒崎ひびしんホール 大ホール (http://www.kurosaki-bunka.jp/)
チケットのお申し込みはコチラから
http://eventon.jp/3305/
【来年のカナエルンジャーを応援】
ぜひ“エンパワ”として来年のスピーチコンテストに出場するカナエルンジャーをサポートしてください。
チームで挑む120日! エンパワとは
http://www.canayell.jp/support/empowerment/
来年度もスピーチコンテストを東京・横浜で開催、エンパワの募集開始は11月頃を予定しています。後日当Webサイトでご案内いたします。

ご来場ありがとうございました ~カナエール2016夢スピーチコンテスト横浜~

今年初めて神奈川公会堂で開催したカナエール横浜。真夏のような暑さにもかかわらず、会場を埋め尽くすたくさんのお客様にご来場いただきました。この度はご来場誠にありがとうございました。
8名の出場者(カナエルンジャー)はみな堂々としたスピーチを披露しました。時折感情を高ぶらせながらも、仲間と120日間かけて作り上げたスピーチを、自信を持って、最後まで力強く語りました。
たくさんの人たちの前で決意を宣言すること、そしてたくさんの応援者の存在を感じることが、今後彼らが困難を乗り越え夢を叶えていくための力になると私たちは信じています。
次週は東京、来月は福岡でコンテストが開催されます。そして来年以降もカナエールは続いていきます。みなさまとまたどこかの会場でお会いできること楽しみにしております。(そして、あぐぅのカフェでもお会いしましょう!)
本日の毎日新聞神奈川版朝刊で昨日のコンテストの模様を掲載いただきました。ぜひご覧ください。
カナエール夢スピーチコンテスト 養護施設の子ら進学へ夢を語る 横浜で /神奈川

「君の行方」

男の人がおごると言いだしたときは、「割り勘でいいよ」と言って、「いやいや、いいから」と返されても、もう一回「いいよ、出すから」と言うべきらしい。
「そうかなあ。若い頃は断固割り勘にしようとしたけれど、今思いかえればそんな押し問答をせずに、気持ちよくごちそうさまと言うべきだったのかもと反省してるけど」二十歳そこそこの自分を思い返して私が言うと、「俺はもう一回言ってほしいんです」と強く主張された。
 
我々は君と数カ月ぶりに会っていた。我々、つまり二年前にカナエールのスピーチコンテストでエンパワーだった大人たちは、今日はじめて学生でない君に会う。大人になった働く君に。
君とお酒をのみ、恋愛の話をする日がくるとは思わなかった。はじめて会ったとき、君は高校生で、制服を着て大きなマスクをしていた。人前で話すのだからマスクをとるようにと言った私に、君は不本意そうだった。
 
君は夢を叶えて美容師になった。あの日スピーチをした夢を叶えたわけだ。自分が望んだ職業についている人はきっとそんなには多くないわけで、それだけで君は誇っていい。とはいえ夢が叶ってめでたしめでたしというわけにもいかない。そこがスタート地点なのだから。
東京を離れ、新天地で一人暮らしをしながら仕事をする。「心配していたけれど、順調そうでよかったよ」君がトイレに立った隙に、私は我々のうちの一人に話しかける。
 
出会って間もない頃、君は優等生だった。少し冷めていて、こなせばいいと思い、あまり心を開いていないことに我々は気づいていた。君のそんな姿勢に我々はどうすればよいのだろうと悩みながらも、日々を重ねるうちに、君の負けず嫌いで、熱いところを知っていった。
 
あの頃はなんだかひどく焦っていた。スピーチコンテストまでの限られた時間の中で、今君の力にならなければ、今君に有益になるようなことをしなければと思っていた。過ぎ去ってからでは遅いのだと。過ぎ去ってしまった今となっては、もっとゆっくり君を見守ればよかったのに、もっと余裕をもって君と話せばよかったのにと思う。けれど我々も未熟で、いや我々こそ未熟で、君の言葉に何度もはっとさせられた。
 
スピーチの最終練習のとき、君は堰を切ったように話しはじめた。過去のこと、家族のこと、どうして美容師になりたいのか、スピーチを誰に聞いてほしいのか。コンテストは二日後だったけれど、我々はこのスピーチが既に十分に意味があるものになったことを確信した。君が何かに向き合った瞬間に立ち会えたあの日、我々は君との絆をはっきりと見たのだと思う。
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君は一歩一歩を踏みしめるように成長している。
仕事も順調で、職場での評価も高く、自信に満ちていた。順調なことは予想がついていた。美容師の専門学校の時、君が毎朝早く学校に行って自主練習をしていたことを我々は知っていた。君は決めたことは必ずやり遂げる。もしかしたら時間がかかるかもしれないけれど、君のその努力は必ずや花開くと我々は信じている。
今のところは順調のようだ。とはいえ、人生は雲行きが悪いときや、何をやってもうまくいかないときもある。君が停滞し、悩み苦しむとき、我々は大層なことはできないかもしれない。我々ができることと言えば、こうして君に会い話を聞き、そして日々の生活の中で君が引っ越した新たな土地に思いを馳せ、君のことを思うくらいだ。
 
君はかつてより血色もよくなりびっくりするくらいかっこよくなった。職場の先輩にマスクを外した方がいいと言われて、今はマスクをしていないのだと君は言った。以前は、マスクをすると安心したし、歯並びが気になっていたのだと。そんなこと全然気にならないよと私は言い、君がマスクを外して街を歩くようになったのだと我々はうれしかった。
 

【エンパワ日記】 夢の原点

チーム「横浜ブルー」のマネージャー“おじゃる”です。
前回3月に、少しずつ走り始めたチームについて書いてから(http://www.canayell.jp/yokohamablue/) 2ヶ月あまりが過ぎ、本番までいよいよあと2週間(ブログ公開時点であと6日)。フルマラソンでいうなら勝負どころ、35km過ぎまでやってきました。
気づけば、うららかな陽気にうとうとまどろむ季節から、少し動いただけでもじっとり汗ばむ季節へ。 チームもその空気の変化に呼応するかのように、何度も会って話をし、毎日のようにLINEでとりとめもないやりとりやスタンプの応酬を続けながら、だんだんと熱を帯びてきています。 時にスピーチ原稿のブラッシュアップの最中、言葉のやりとりが熱すぎることもありますが、それもこれも含め、すっかりチーム4人が日常生活で「いて当たり前」な存在になってきたような気がします。
でもここへ来て、緩やかな上り坂に、少し足が止まりつつあることも事実です。 それは「あなたの夢はどこから来たのですか?」という問いに対して。
横浜ブルーのカナエルンジャー「T2」。 料理人になるのが夢だと、オリエンテーションの2月には、熱く(時にはにかみながら)話していました。 その夢の原点ってなんだろう? 現時点で彼自身も私たちも何となくそこに強い思いがあることはわかっていながら、もどかしいかな、はっきりと言葉で説明できるものを今の時点で持ち合わせていません。 それはスピーチ本番でも、もしかしたら、夢が成就して料理人になっても、はっきり表現できないものなのかもしれません。
カナエールの活動の中では、時にエンパワから直接カナエルンジャーに問いかけてみたり、あるいは仕事人インタビューを通じて彼自身が大人に問いかけてみたり、様々な角度から「夢ってなんだろう?」をチームで考えてきました。
大人になり歳を重ねると、思い描いていたことのいくつかは、恐らくかなわないんだと思わされる経験に出くわします。 そしていつしか、そのことを「夢が現実に負けた」という一言でもって周囲や自分を納得させようとすることがあります。
仕事人インタビューで、その道のプロにお話を伺った際、そのうちの何人かが、インタビューの最後に「いやあ、この仕事を志した時の気持ちを思い出したよ、ありがとう」とコメントしてくれました。 そのなんとも言えない表情を見ながら、ホントは、夢って「現実に負ける」ものでも「あきらめる」ものでもなくて、ただ単に「見続けられるものかどうか」だけなんじゃないかと思いました。 そして、その道のプロが忘れていたというのは、走り続けてきた現実の中にずっと夢があるからではないかなと気づいたのです。
スピーチ本番の5分間では、夢への一直線な思いを、カナエルンジャーは一生懸命伝えようと頑張ると思います。 その短い時間で伝えようとする姿は、ともすると聞いている立場からは「特別なこと」に映るかもしれません。
でも、その夢は、日常生活でいろんなことを思い、時に悩み、笑い、泣き、という現実生活からの地続きで支えられているということ、だからこそ大きく根を張って強く強くキレイに咲かせられる夢だということ。私自身、そのことはT2とエンパワの二人(はたぼーとはるはる)と過ごしてきた中で感じたことでもありました。
何十時間と原稿に向き合って、溢れ出しそうな気持ちをひとつ残らず詰め込んでも、なお、語りきれない思いやこぼれ落ちる言葉があります。 そんな語られなかった言葉にも思いを馳せながら、スピーチコンテスト本番6/18(土)に、客席からカナエルンジャーの一言一言に耳を傾けてもらえたら、一緒に走ってきた身として、こんなに嬉しいことはありません。 もしかすると、カナエルンジャーにとっての「夢の原点」は、スピーチを終えてあなたからのあたたかい拍手をもらった瞬間になるのかもしれません。

はたぼー・T2・おじゃる

はたぼー・T2・おじゃる


You may say I’m a dreamer. But I’m not the only one.
(わたしのことを夢想家だと言うかもしれないね、でもわたし一人じゃないはず)

(横浜ブルーマネージャー:おじゃる)

毎日新聞Webサイトでカナエールが紹介されました!

毎日新聞Webサイトでカナエール夢スピーチコンテストをご紹介いただきました。
児童養護施設出身の若者が夢を語る チケット代は奨学金に
児童養護施設で暮らす若ものは18歳で施設を出て、自立して生きていかなくてはなりません。「カナエール」は児童養護施設を退所した後、専門学校や大学等へ進学する若ものを支援する奨学金支援プログラムです。児童養護施設を退所する若者の進学率は20%(全国平均75%)、進学後の中退率は30%(全国平均10%)。親や家族を頼れない中、アルバイトで学費や生活費を稼ぎながら、卒業まで仕事と勉強を両立することは難しく、施設からの進学の前例も少ないがゆえに、進学を選べない若者が多くいます。
カナエールは、夢や進学への思いを語るスピーチコンテストの出場を条件に、返済不要の奨学金を給付します。120日間、スピーチコンテストに向けて3人の社会人ボランティアとのチームで取り組むことで、進学してからの「意欲」と「資金」の両面をサポートします。2016年は東京・横浜・福岡の3会場でスピーチコンテストを開催します。
東京会場はお陰様で完売いたしました。横浜会場はまだチケットがございます。開催日迫っておりますので、お求めはお早めにどうぞ。
チケット代5,000円は出場者の奨学金に充てられます。ぜひお誘いあわせの上、会場へお越しください。客席に座るあなたの存在が、若者たちの夢を叶える力になります。
カナエール横浜 6月18日(土)神奈川公会堂(神奈川県横浜市)
http://canayell2016y.peatix.com
 

【エンパワ日記】「何かをしてあげたい。」を超えて、「一緒に何を目指すか。」

スピーチコンテストに出場する奨学生(カナエルンジャー)と彼らを支えるチームの活動をお伝えするエンパワ日記。今回はチーム東京グリーンのマネージャー“みっちー”からの報告です。
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■「何かをしてあげたい。」を超えて、「一緒に何を目指すか。」
カナエールに参加をして大切だと思うことは、
・カナエルンジャーとエンパワの4人チームで、同じ目標に向かって、進んでいくこと。
・お互いのことを理解し合い、思いやりを持って活動すること。
チーム活動を始めて、100日が過ぎました。
長いようで、短い、アッという間の120日間。いよいよ、スピーチ本番を向かえます。
カナエルンジャーと3人のエンパワが出会ってから、すぐに本音で話し合いが出来るとは限らず、
遠慮してしまうことや話しにくいことを最初から全てオープンにすることは難しい。
しかし、カナエールの活動を通して、同じ時間を重ねていくことで、ふとした瞬間に本音の笑顔、自然体の一面を見ることができ、少しずつ関係値を築くことができているのかなと感じる。
一方向のサポートではなく、何か一つでも、お互いにとって得るモノがあればと思って、共に成長できる、そんな4人での活動を続けています。
もちろん、知識や経験により、エンパワがカナエルンジャーにアドバイスをする場面が多くあります。
ですが、カナエルンジャーからも、夢に対する熱い想い、覚悟の強さ、さらには、面白いマンガやカッコいい音楽等の趣味の話、一人の人間の魅力として、たくさんのことを与えてもらっています。
■「4人で活動をする意義。最初のファンづくり。」
私がサポートをしているカナエルンジャーのトミーは、普段はクールだけど、実は話し好きで、いろいろな趣味を持っています。自分だけではなく、周りの人の「幸せ」を考えられる優しい男の子。
そして、エンパワメンバーのWaddyとゆばちゃん。
Waddyは、自分の意見を持ちながら、相手の意見もしっかりと尊重してくれる、ノリの良いまとめ役。
少しおっちょこちょいな部分があるけど、チームで一番明るく、熱い想いを持ったゆばちゃん。
それぞれに魅力があって、一緒にいることが楽しい。
相手に対して思いやりの心を持ち、理解し合うことで、お互いのファンになっていく。
そうすることで、4人の想いが共有され、トミーの目指す目標への道が創られていく。
マネージャーブログ用写真②
■「4人一緒に笑顔でスピーチの舞台に立つこと。」
スピーチの舞台は、夢に向かう、大きな一歩。
人生の、その瞬間に立ち会えることを私は本当に幸せだと感じています。
子どもたちは、5分間のスピーチに今までの人生を込めています。
会場に来て頂いた皆さんの一人でも多くの方に、子どもたちの想いを知ってもらいたい。
そして、その場で感じたこと、思ったことを帰り際でも、翌日の仕事場でも、率直に周りにいる人たちに伝えて欲しい。
そう広がっていくことで、
「スピーチコンテスト」という120日間の活動の枠を超えて、
将来にわたり、子どもたちの夢が、私たちの夢になり、また、私たちの夢が子どもたちの夢にもなり、
実現の後押しをしていく。
かけがいのない人生の中で出会った、カナエールの輪が広がっていくことを心から願っています。
ぜひ、会場にきてください。お待ちしています!
チケット好評発売中!
(チーム東京グリーン みっちー)

【エンパワ日記】 学ぶ姿勢

いっちーは、カナエール東京ブラックのカナエルンジャーです。
いっちーと出会ってから約100日。直接会ったのは10日以下です。こんな短い期間ですが、限られた時間の中で、いっちーは精一杯カナエールの活動に参加し、自分の過去・現在・そして夢と向き合ってきました。
夜アルバイトが終わって21時過ぎに帰宅した後から夜遅くまで原稿作成・スピーチ練習に取り組むいっちー。他のカナエルンジャーの事前の発表スピーチを見たり、トレーニングチーム、ワークショップの講師の方々からアドバイスをいただくと、すぐにそこから自分のスピーチに活かせることはないかよく考えるいっちー。
カナエールで用意されている一つ一つの機会を当たり前と思わず、全てから何かを学び自分の糧にしてきました。こうやって100日の間にいっちーは、エンパワが驚くべきスピードで成長してきました。
東京ブラック2
 
私は以前、中高の教員をしていましたが、本当の意味での「学ぶ姿勢」をいっちーに改めて教えてもらったような気がします。 そんないっちーの持つ夢は保育士になること。ただ「子供が好きだから」「かわいいから」という理由でなりたいのではありません。子供にとって、親にとって保育士はどういう存在であるべきか、熱い信念を持ってこの夢と向き合っています。
スピーチコンテストまであと3週間。この熱い想いを一人でも多くの人に伝えるために、いっちーはこの3週間さらに走り続けます。

(東京ブラックマネージャー:いさっしー)

【エンパワ日記】「共にする喜び」

これを書いている時点でいよいよコンテスト本番まであと25日!
すでにチームが動き始めてからおよそ3か月が経過しました。
私たちのチームはエンパワ3名ともカナエール初体験のフレッシュなチームです。
カナエルンジャーは理学療法士を目指すヤッスーで、礼儀正しく真面目な野球少年ぶりにヤッスーでよかった、この子ならスピーチ原稿の作成はきっとスムーズに行くだろうと嬉しくなりました。しかし、いざ活動が始まってみると、彼の私たちへの態度はいつまでたっても「お世話になる大人たちへの礼儀正しい対応」を越えることがなく、打ち解けないものでした。

ネクストバッターズサークルにいるヤッスー

ネクストバッターズサークルにいるヤッスー


 
シャイなヤッスーは文章に自分の気持ちや感情をうまく乗せることも苦手のようで、スピーチ原稿は事実経過の羅列にとどまり、本人の本物の気持ちや熱い思いがなかなか伝わってきません。なんとかしたいとは思うものの、誰しも好意を持つ相手に批判的なことは言いたくないものです。
ましてやまだ打ち解けないヤッスーに嫌われてこれ以上距離が開くようなことは避けたい、そんな気持ちから、批判は抑え、少しでも良い部分を見つけて持ち上げるようにしていました。今から思えば腰の引けた対応だったと思います。
そんな中、原稿を読んで聞かせてもらったところ、これが酷い棒読みで私はつい今までの遠慮を忘れて「全然あかんわ!だいたい、練習してへんやろ」と叫んでしまいました。「やってしまった」と思いましたが、言ってみると案外雰囲気が悪くなることもなく、その後で練習してきたらしく翌日は格段によくなっていました。このことがきっかけで私も思ったことが言えるようになり、そうするとヤッスーも納得いかない部分は反論してくるようになりました。私の中で彼との距離が一気に縮まった出来事でした。
それまでなんとか親密になろうと思い、いろんな質問を振ったり自分のことを面白く話してみたり、工夫や努力をしてきたつもりですが、垣根を作っていたのは自分の方だった。私はヤッスーのことを大切な壊れやすい宝物みたいに思っていたけど、そうじゃない。宝物はその輝きが変わらないように大切に保管するけど、ヤッスーは成長して変わっていくべき存在です。
ちょうどタイミングよく「甘やかすのは愛がないから」という言葉と出会いましたがまさにその通りで、私はヤッスーのことを一人の人間として尊重も信頼もしていなかったと痛感しました。
バッティングセンター初体験の私を心配そうに見つめるヤッスー

バッティングセンター初体験の私を心配そうに見つめるヤッスー


今回私がカナエールに参加したのは、仕事以外でも誰かの役に立ちたいという気持ちが強かったからでした。
人間の幸せには、「してもらう喜び」、「自分でできる喜び」、「人にしてあげられる喜び」の3段階があると思っており、人の助けになるということが自分の人生を豊かにすることだと信じています。
今回、カナエールの活動でその3段階にまだ先があることがわかりました。それは「人が自分でできるようになることを手伝う喜び」です。若い人が困難を乗り越えて成長する姿を見ることはそれだけで尊いものですが、それを手助けできることはただ「してあげる」より何倍も素晴らしいです。そしてさらにその先の「共にする喜び」が見えてきました。私は医師で血液透析専門のクリニックの院長をしています。患者さんは高齢の方が多く、主治医としてリハビリに関して意見を述べる機会もあります。いつかヤッスーにリハビリを依頼することがあるかもしれません。一緒に仕事をすることを想像するだけで感無量で涙がこみ上げてきます。
 
どうかみなさん、こんな奮闘の結果をぜひ会場でご覧下さい。
そして来年のカナエールであなたもエンパワになってみませんか?
チケット好評発売中です。
目標に向かって歩く4人

目標に向かって歩く4人


 

(東京ゴールドマネージャー:にゃじら)

【事前発表会@東京】ブラック、ピンク、ホワイト、オレンジ、パープル

横浜の事前発表会に引き続き、今週は東京会場の事前発表会がありました。
久しぶりに10人のカナエルンジャーが集まり、自分の今のスピーチを披露しました。
まずは、
(1)ブラックの「いっちー」、(2)ピンクの「ゆっちぃ」、(3)ホワイトの「みーたす」
(4)オレンジの「くっしー」 、(5)パープルの「マナ」
の5人のスピーチについて一気に紹介していきます!
 


  • 東京ブラック いっちー

スピーチを見守るエンパワ

スピーチを見守るエンパワ


高校3年生。スポーツが万能な元気な女の子です。夢は「保育士」になること。
スピーチ前に上映された3分間の自己紹介動画では、
保育園の子どもたちと触れ合っているときの笑顔がとても印象的で
責任感の強い子であることが、伝わってきます。
幼いときから妹との面倒を見ていた「いっちー」。
「妹」の面倒を見ることが、当時「大変でしかなかった」と語る「いっちー」が、
「保育士」を目指すようになったきっかけ。そのエピソードが印象的でした。
自分の「夢」に対して、とても強い意思を持ち、周りの人への感謝を忘れないやさしい心を持っている
「いっちー」の魅力が伝わってくるスピーチです。


  • 東京ピンク ゆっちぃ

スピーチを見守るエンパワ

スピーチを見守るエンパワ


「ゆっちぃ」のお母さんが日韓のハーフで、お父さんは日本人。
「ゆっちぃ」はクオーターにあたります。夢は韓国語の「通訳」。4月から大学に通っています。
「ゆっちぃ」にとっては、幼い頃から慣れ親しんだ大好きな「韓国」という国・文化が、
周りの友達に思ったように伝わらない葛藤や、「通訳になることがゴールではない」
そう強く語る「ゆっちぃ」の思いを、是非当日聞きにきてほしいと思います。


  • 東京ホワイト みーたす

スピーチを見守るエンパワ

スピーチを見守るエンパワ


笑顔が人を惹きつけるかわいい女の子。夢は皆を笑顔にできる看護師です。
生きていくために、「夢」を見ること、「進学」を諦めていた「みーたす」。
しかし、周りの人に支えられながら「夢」を徐々に持てるようになり、
今は夢に向かって誰よりも努力をしています。
「施設出身者でも、進学できるということを後輩にみせたい。」
今は、「看護師になります。」と堂々と笑顔で語っている「みーたす」の姿が印象的で、
その夢を応援したくなるスピーチです。


  • 東京オレンジ くっしー

スピーチを見守るエンパワ

スピーチを見守るエンパワ


高校3年生のクールでおしゃれな女の子。
彼女には、「愛が伝わるエステティシャン」になるという強い夢があります。
人に触れられるのが怖かったと語る「くっしー」が、
「エステティシャン」を目指すに至った心の変化。
「スピーチをつくるときに自分の過去と向き合うのはとても大変だったけど、
夢をみんなに伝えたいという思いの方が強かった」
スピーチの後に、感想を語る「くっしー」の姿。
本番でもその魅力を是非披露してもらえたらと思います。


  • 東京パープル マナ

スピーチを見守るエンパワ

スピーチを見守るエンパワ


天真爛漫な女の子。世界で活躍する「ウェディングプランナー」になりたい。
「ただかっこいいから」と思われがちな夢かもしれませんが、
それだけではない「ウェディングプランナー」への彼女の強い思いがあります。
マナの話を聞く前は、「施設」は生活に色々な制約やルールがあり、
できないことが多いと勝手に思っていました。
しかし、自発的に行動を起こし、その中で夢を見つけていくマナの姿は、
聞いていて素直に「格好良い」と思わずにはいられませんでした。


先週の横浜会場の事前発表会に続いて、東京会場のルンジャーたちのスピーチも徐々に仕上がってきました。
 
自分の思いがこもった原稿だからこそ、途中涙が流れたり、言葉に詰まったり…
カナエルンジャーも本気で準備をしています。
 
是非、実際に会場へ来て、彼らのスピーチを聞きに来てください。

【実行委員:えるも】

【応援メッセージ】夢を叶えたい彼らの思いに直接触れてみませんか。

カナエールスピーチコンテスト初年度の審査員長をつとめた
東北福祉大学 特任教授の草間吉夫さんから、応援メッセージをいただきました。


だれもが夢を叶えられることは、とても素晴らしい社会と言えます。
でも、それが叶わない青少年がこの国にはおります。社会的養護
で育つ子ども達です。
彼らの夢や思いを叶えることに関心がある方に、ぜひ聞いて頂きたい
イベントがあります。それがスピーチコンテストです。
横浜・東京・福岡で開催いたします。
夢を叶えたい彼らの思いに直接触れてみませんか。
夢を実現する思いとそれを支えたいを繋げるイベントが、夢スピーチコンテストです。
皆様のご来場をお待ち申し上げています。
皆様が踏み出した一歩が、彼らの確かな歩みの一歩に繋がります。

2016年6月1日  東北福祉大学 草間吉夫


チケット代は出場者の奨学金に充てられます。逆境を乗り越え未来に向かう、彼らの思いに、ぜひ会場で耳を傾けてください。客席に座るあなたの存在が、彼らの夢を叶える力になります。
横浜会場 6月18日(土)神奈川公会堂(神奈川県横浜市)
http://canayell2016y.peatix.com
東京会場 6月25日(土)四谷区民ホール(東京都新宿区)
☆☆☆東京会場完売しました☆☆☆
福岡会場 7月3日(日)黒崎ひびしんホール(福岡県北九州市)
http://eventon.jp/3305/