オワリはじまり

> もうすぐ今日が終わる やり残したことはないかい
> 親友と語り合ったかい 燃えるような恋をしたかい
> 一生忘れないような出来事に出会えたかい
> かけがえのない時間を胸に刻み込んだかい
かりゆし58の名曲「オワリはじまり」です。
今年は節目の年というか、個人的に「オワリ」を感じることが多く、よくこの歌を思い出して聴いています。
その「オワリ」で大きいのは、3年前から関わっている【カナエール】のことです。

スピーチコンテストの終了もそうですが、個人的にはもう一つ「オワリ」があって、それはカナエールに初めて参加した時のカナエルンジャー「さゆりん」が学校を卒業した、ということです。
さゆりんは、スピーチコンテストで語った歯科衛生士の夢をかなえて卒業し、同時に奨学金支援は終了となって、月一回の面談プログラムも「オワリ」となりました。
コンテスト後の学校生活、勉強のこと、バイトのこと、家族のこと、いろんな話を聞き、彼女の成長をちょっとは見守ってあげられたかな。そんな感じでした。
 
卒業後まもなく、当時の2014横浜レッドチーム全員で集まり、卒業と資格試験合格のお祝いをしました。
久しぶりに集まって、お互いの近況やカナエール活動のことを懐かしく語り合い、また夏頃にみんなで会おうと約束してその日は解散しました。
振り返ってみると、「オワリ」というより新たな関係の「はじまり」を感じています。

そして、このカナエール夢スピーチコンテストが今年で最後という「オワリ」について。
2014年から参加した自分は、7年間の約半分くらい関わったことになります。
児童養護施設の事なんて、全く知らない状態で説明会に参加して、施設やそこにいる子どもたちの話に衝撃を受けた事は、今でもはっきり覚えています。
最初はエンパワ、映像制作のクリエイターとして参加し、チーム4人で舞台に立ち、スピーチコンテストは無事に終わりました。
その後はコンテストの実行委員として、カナエルンジャーとエンパワをサポートする立場で関わり続けてきました。
そのカナエールが終わると聞いて最初に思ったことは「こんなに良いプログラムを、なぜやめてしまうのだろう?」という事でした。
実際に自分と同じような声も聞くし、お金だけでなく継続的に意欲を支援する仕組み、児童養護施設のことはもちろん、子どもの貧困等、見えにくい社会の問題を伝える役割もおおいにあったと思います。
それでも今年で「オワリ」という形をとる理由を事務局に聞くと、それはカナエールが始まった7年前と現在の社会の劇的な環境変化にあるといいます。
返済不要の奨学金が行政を中心に増えはじめ、進学という選択肢は施設の子どものたちにとって選びやすくなってきています。
そういう社会の変化はカナエールが始まった2011年よりもはるかに進んだことを受け止め、カナエールはその役割を果たしたという判断のもと、今年でコンテスト最終回という選択をしたと説明をいただきました。カナエールは、NPOが果たせる役割を全うしたと評価し、「オワリ」を選択したのだと聞きました。
その説明には、カナエールの母体であるブリッジフォースマイルのポリシーを感じました。
NPOとして社会に問うべきことは何か。
儲かるから。楽しいから。カッコいいから。ではない。
儲からなくて、泥臭くて、不器用だけど、でもその問題に挑む姿勢。
あくなき理念の追及。
それを感じたから、だから自分はこの団体と、そこでがんばる人たちが好きなんだな。
応援したくなるんだな。改めてそう感じました。
 
そして、そのカナエールでは、コンテスト会場で直接贈られる観客のみなさんのあたたかい声援、大きな拍手、心からのメッセージが、カナエルンジャーたちにとって、何物にも代えがたい「意欲の支援」となり、卒業を目指す励みになります。
そう、カナエルンジャーたちにとっては、コンテストが「はじまり」なのです。
その「はじまり」の瞬間を、一人でも多くの方に見届けてもらいたい。
私自身が、3年前にカナエールに参加したとき、新たな「はじまり」を感じたように。
きっと、あなたにとっても新たな「はじまり」になるように。
「一生忘れないような出来事に出会える」ように。
「かけがえのない時間を胸に刻み込む」日になるように。
そして、カナエールの「オワリ」は新たな「はじまり」だということを信じて。
そんな、カナエールFinal、横浜・東京・福岡の会場で、一同心からお待ちしています。
(実行委員:デイブ)